R02/05/01 体裁よりも先ずは投稿することを優先するため、考えたことをそのままブログ記事にすることが多いのですが、
あまりに駄文長文となっており主旨が伝わりづらいこと、不必要に批判的であったこと、検索キーワードによっては上位に表示されることから全面的に改稿しました。
ZX500のandroidへの対応は、間違いなくストリーミングへの対応が本旨でしょう。一部の記事で動画再生やゲームなどが用途として書かれていましたが、マルチメディア機としてandroidを採用している訳ではないのはその本体デザインというか画面サイズから明らかです。
しかし、ストリーミング対応の代償は大きいのではないでしょうか?
まず、昨今普及してきているとはいえ、大多数がストリーミングを利用しているという状況ではありません。ストリーミング再生はまだまだ楽曲が揃わないジャンルもありますし、何よりローカル再生より音質が劣るのは確実です。外出先ならその程度の音質低下は問題ではないというのも正論ですが、わざわざストリーミングを使わずとも聞きたい曲は自宅視聴用のライブラリを流用すれば済むという人もいるでしょう。
そしてストリーミング用ポタ機として使うには、通信がWi-Fiのみというのは致命的です。もちろんスマホからテザリングする運用をしていらっしゃる方もいるでしょうが、音楽を再生するたびに設定を変更するのは正直面倒です。
ただ、以前の記事で指摘したハイレゾのストリーミングがダウンコンバートされて再生される件は改善が検討されているようですね。
ストリーミングを使わない層にとってはどうでしょうか?
若干ですが、ホワイトノイズが増加しているように感じました。そして、バッテリー持ちが悪くなっているのは確実です。
私が主張したいのは、スマホという現代人にとって必須の汎用機がある以上、今後DAPは端末の中心になりえないということです。幾らDAPにandroidを搭載しても、スマホの立ち位置を奪えるわけではないです。ならば、逆に再生専用機としての操作性を追求すべきではないでしょうか?
例えばマルチメディア機能や楽曲再生操作を、スマホをホストとした音声再生専用としてDAPを扱うということです。
私はYouTubeの音声を再生する際、WM1AをDACレシーバーとして接続・使
用しています。もちろんダウンロードしてYouTubeの音声形式であるOpusからflacに変換・DAPローカルストレージに転送してのネイティブ再生に音質は劣りますが、軽量なスマホで再生操作が完結するので非常に手軽です。ペアリングも、対応スマホならNFCを用いれば簡単に行えます。
私はストリーミング再生を利用していないので実際に試したわけではありませんが、WM1AやZX300でも、BTレシーバーとして使えばスマホを媒介してストリーミング再生は可能でしょう。
walkmanのUSB-DAC機能では遅延が大きいですが、bluetoothなら遅延も少ないので動画再生でも違和感なく使えています。
また楽曲再生についても、スマホから操作可能にすることでDAPをわざわざ取り出す必要はなくなります。もちろん、スマホを使わず純粋に音楽鑑賞する際に、これまで通り単体でも操作可能なボタンは残す必要があるでしょう。
AK ConnectやPolyといった製品は、スマホから再生操作を可能にしています。Bluetoothの規格では多彩な操作はできないようで、これらの製品はWiFiで通信することでその機能を実現していますが、バッテリー持ちに課題があるようです。
SONYは今後のbluetoothを含めた規格や製品のあり方をリードできる立ち位置に居ると思います。
新たなデファクトスタンダードのパイオニアとなる製品が生まれることを願います。
タイトル:期待外れのZX500
SONYは現代のニーズを再考せよ
IFA2019にて、ミドルレンジ
walkman NW-ZX500が発表された。
かくいう私も、
walkman(上位機種のWM1A)ユーザーだ。
ZX300の後継であるZX500が出れば直に同じ方向性で進化したWM1A後継も発表されるだろうと踏んでいる私は、その進化の方向性に注目していた。
WM1Aは音質ではポータブルとしてかなり優秀な部類だと考えているので、特に機能面の進化に注目していた。
しかし、決して良い進化とは言えない方向性だった。本稿では
SONY開発陣と、ZX500を検討している方々にその問題点を提示したい。
[:contents]
## 筐体
まずは筐体を見てみると、基本的にZX300のデザインを踏襲している。
最も大きな違いは、WMポートがtype-Cに置換されたことだ。
### 規格は改善されたが、改悪された端子の配置と構造
WM1Aを利用していてWMポートであることに不満はなかったが、type-Cの採用自体は歓迎したい。
しかしWM1Aでは端子の周囲にガイドが付けられており、端子自体の太さも相まって挿入しやすく配慮された設計だったので個人的には気に入っていた。
対するZX500では商品写真を見る限り、ガイドなどは無く
スマホのように端子が筐体に直接埋め込まれているようだ。
頻繁に挿抜する端子の周りに、多数の傷がついている光景を目にしたことはないだろうか?挿入時筐体に傷を付けそうなので改善してほしいところだ。
これまでの筐体下面から、側面に移動された端子位置にも疑問が残る。側面にあると場所を取り、取り回しが悪くなるのは間違いないと思うのだが...
## 機能面
しかし本稿で問題にしたいのはそこではない。機能面だ。
###
Androidの搭載
ZX500の目玉は、なんといっても
Androidへの転換だろう。
>「
Android OSであれば、ユーザーが好きな音楽ストリーミングサービスのアプリを自由にダウンロードできる点が大きなメリットと考えています。また昨今では動画サービスの
YouTubeで音楽を楽しむ人も多く、動画付の音楽系コンテンツも高音質で楽しみたいという声が多く寄せられていました」[^1]
>
Android OS搭載となったことで、こうした高音質が音楽ファイルの再生だけでなく、
音楽配信や動画、ゲームにも活かせるはずだ。[^2]
とあるようにその目的は主にストリーミングサービスを含む、オンラインコンテンツを楽しめるようにすることが主眼のようだ。
### 安直な機能変更ではなかったか?
だが、少し考えてみてほしい。現代の
スマートフォンは汎用端末として、ますます大画面化・高画質化・高性能化している。電車内や街を見渡してみれば、人々が手にしているのは
スマホ、
スマホ、
スマホ。ゲーム機や
ipodなどをモバイル機として利用している者はもはや
絶滅危惧種だ。
そんな時代に、誰が1280×720の3.6インチ液晶、しかもSoCは1.8GHzの
クアッドコアな端末で動画やゲームを消費するのだろうか?
WM1A後継なら4インチと少しはマシだが、今度はさらに重量(WM1Aは267g)が足かせになるだろう。
DAP単機として見れば悪くなかったタッチパネルの精度も、
スマートフォンと比べてしまえば決して良いとはいえないだろう。
肝心のストリーミングサービスも、
ハイレゾ再生などに対応できておらず片手落ちという状況だ。
>
ハイレゾ対応のストリーミングサービスを受けて聴くことができるものの、ひとつ注意したい点は、SoC周辺のシステムによる制約を受けるため、最大48kHz/16bitまでのダウンコンバート再生になる[^3]
### 断たれた他端末との連携
ZX500では、
>USB-
DACや
Bluetoothレシーバーの機能が省略されている[^4]
という。PCや
スマホとの連携が完全に断たれた形だ。(これらはアップデートで対応する望みが無い訳ではないが)
## 音質面
### 前モデルと大きな違いはなく、利便性の低さを補填できない
肝心の音質については、
>フルデジタルアンプ「S-Master HX」や、圧縮音源も
ハイレゾ相当にまでアップコンバートする「DSEE HX」も搭載[^4]
....基本的に従来機と同じである。
他にも
コンデンサの容量アップなど細かな工夫が為されているのは決して悪いことではないが、音質傾向はZX300と似たようなものだろう。
ZX300の詳細な仕様は把握していないが
Androidを動作させるため(前モデルに比べ)高速なSoCを採用していることで、むしろ音質が悪化することも考えられる。
## まとめ
これまでも、他社に
Android搭載の
DAPは存在していた。
しかしそれは、開発が容易になるなどの理由が主であろう。
DAPで試しにゲームや動画再生している人を見かけたことはあっても、メインのゲーム端末として利用している人は見たことがない。
結果として、
Androidの搭載がもたらしたのはストリーミングサービスの48kHz/16bitまでの再生。非
ハイレゾのストリーミング再生だけに注目すれば確かに容易かつ高音質に再生可能になるだろうが、それだけだ。
そのストリーミング再生すら、
スマホから
Bluetooth接続で再生と比べると音質は向上するだろうが、利便性を見てみれば...選曲する度にわざわざ端末を取り出さなければならない。
### 今の道を進めば...
Androidへの対応の先に
セルラーモデルを仄めかす記事もあった。
>「開発を始める段階で
セルラー通信への対応は議論に上りました。技術面で難しいということはないのですが、やはり本体のサイズと商品の最終価格に影響が及ぶため、今回のモデルでは見送る判断に至りました。反響を見ながら引き続き検討していきます」[^3]
しかしそんなものは必要ない。
DAPを
セルラー化したところで、メイン端末にはなり得ない。
メイン端末にするつもりがないとしても、ストリーミングサービスのためだけにSIMを余分に用意することになる。
過去に
DAPと
スマホの両機能を持った、
オンキヨーの
GRANBEATという機種があった。
ニッチな分野への挑戦は評価しているが、後継機種は出ていない。他者が一度通った行き止まりの轍を再び踏む必要はない。
Xperiaですらあれだけ迷走しているのに、
walkman開発陣が
セルラー端末を作っても完成度は低いだろう。
重量が重くならざるを得ないという物理的な限界もある。
スマートフォンですらハイエンド機種は重量が200gと重くなってきているのに、多くの人が四六時中握っている端末をこれ以上重くすれば支持は得られないだろう。
### 顧客が本当に必要なもの
walkmanに今、必要とされているのはメディアセンターではなくオーディオ専用のクライアントである。
コン
トロールを
スマートフォンに任せ、受け渡された指示やデータを再生するという役割をもたせれば間違いなく利便性は上がるだろう。
具体的には、
*
スマホからの
bluetoothによる再
生コントロール
* ストリーミングや
bluetooth(LDAC)再生の高音質化
* より容易な
スマホとの有線接続の実現(これまで製品を組み合わせる他にケーブルが存在しなかった[^5])
これらが実現すれば、
walkmanを取り出すことなく
スマホを操作するだけで完結する。
音楽データを
DAP側に置くことで、
スマホのストレージも圧迫されない。
SONYには自前のモバイル部門・
Xperiaとの連携、ワイヤレスイヤホンで培った技術力などそれらを可能にする力がある。
今この瞬間は、携帯音楽プレーヤー市場がこれからも続いていくかの正念場だ。[^6]
walkman開発陣にはこれまで体験してきたポータブルの歴史を活かして、今この時代に何が必要とされているのか再考してほしい。
[^1]:
<IFA>これは“セルラーモデル”への通過点? ウォークマンが再びAndroidを採用した理由を担当者に訊く (1/3) - PHILE WEB
[^2]:
<IFA>Android搭載でどう変わった? ソニー新ウォークマン「NW-ZX507/NW-A105」を速攻チェック - PHILE WEB
[^3]:
<IFA>これは“セルラーモデル”への通過点? ウォークマンが再びAndroidを採用した理由を担当者に訊く (2/3) - PHILE WEB
[^4]:
<IFA>ソニー、新上位ウォークマン「ZX500」。銅切削筐体で高音質化、WMポート廃止 - PHILE WEB
[^5]:
ウォークマンZX300、A40の新機能「USB DAC」を、様々なパターンで遊んでみる(自作ケーブルとかも) - 店長のつぶやき日記ハイパぁ。。。2
[^6]:
iPod亡き後、ウォークマンは生き残れるのか?:日経クロストレンド